自転車な話/2008-07-22
＜ツール・ド・フランス＞第16ステージ、デッセル初勝利。総合は2003年以上の僅差で最後の山岳ステージへ！ †
ツール・ド・フランス公式ページ
ツール・ド・フランス、アルプスの2日目第2ステージはイタリアのクネオからフランスに戻ってジョズィエールまでの157km。途中、２つの超級山岳、ロンバルド峠とボネット・レストフォン峠を登って降りて登って降りるコース。
選手たちはきっときっと大変なのに違いないが、テレビでレースを観戦している私に取ってはレースもさることながら、画面に広がるアルプスの景色が見逃せない。もう、すごい、の一言ですわ〜♪
そんな中、レースはとてもタフな展開でした。見ていてもぐぐっと力の入る登り、下りのカーブで崖から転落する落車、遅れる選手、逃げる選手。ステージ優勝争いと総合優勝争い、もうドキドキしながら見ていたのでした。
今日はやはりまずはシューマッハ（ゲロルシュタイナー）だろう。
序盤なかなか逃げが決まらず、ロンバルド峠への登りを目前にしてようやく5人の先頭集団と24人の追走集団がメイン集団から逃げ出すのに成功する。
先頭の5人の集団、その中でシューマッハの走りは一人だけぬきんでていた。登りに入ってシューマッハ、がんがんひいていく。この引きにまず第3ステージを制したデュムラン（コフィディス）、続いてロセレル（クイックステップ）、さらにルメベル（クレディアグリコル）、最後にはヴォクレール（ブイグテレコム）までも引きちぎって、単独でロンバルド峠の登りを登っていく。後続の追走集団、そしてメイン集団とはどんどん差が開いていく。
メイン集団からはクネゴ（ランプレ）がアタック、総合上位のヴァリャベッチ（AG2R）らのいる追走集団を追いかけていく。そのメイン集団もどんどん選手たちがちぎれていく。超級の登りと言うことで追走集団の中でも脱落者が出て、選手の入れ替わりがめまぐるしい。
シューマッハは最初の超級ロンバルド峠を先頭で通過。追走集団とは4分35秒、メイン集団とも9分35秒。さらに下りでもどんどん後続と差を広げていく。一旦降りきったあたりでは12分以上の差が開き、ひょっとしてこのままだと逃げ切れるか？とも思われた。
しかし、2つめの超級山岳ボネット・レストフォン峠への登りに入ってシューマッハのスピードががっくりと落ちる。メイン集団との差がみるみる縮まっていく。間の２つの追走集団は１つになってシューマッハを追走。こちらもどんどん差が詰まっていった。
追走集団ではヴァリャベッチがアタック、このアタックにかつてのチームメイトだったクネゴが脱落していく。
そのまま追走集団は加速してシューマッハを追走。残りわずかというところで追走集団に捕まってしまった。しばらく集団にとどまるが、やがて少しずつ遅れていってしまった。
そのまま先頭集団はオーガスチン（バルロワールド）を先頭としてボネット・レストフォン峠を通過、下りに入る。
後続のメイン集団では今日もCSCサクソバンクが登りに入って集団をひく。山頂がじょじょに近づいて来たところで先頭がA.シュレックに変わってスピードアップすると、メイン集団から次々と脱落者が。総合4位につけていたヴァンデヴェルデ（ガーミン・チポレ）や総合新人賞のニバリ（リクイガス）もこの引きで脱落してしまった。
メイン集団ではさらに逃げ集団から降りてきたフォイクト（CSCサクソバンク）が集団をひき、加速。キルシェン（コロンビア）、ついて行けずに脱落。先頭集団から1分42秒遅れで山頂を通過する。
〜
先頭集団は、下りに入ってオーガスチン、デッセル（AG2R）、カザル（フランセーズデジュ）、アローヨ（ケースデパーニュ）、ポポヴィッチ（サイレンス・ロット）の5人となる。が、そのオーガスチン、カーブで曲がりきれず崖下に転落。幸い傾斜の途中で止まって大惨事は免れたが、ステージ優勝争いからは脱落。その後も長い下りが続く道のりをそのまま4人のままゴール前まで到達する。
この4人の中から残り1km手前でポポヴィッチがアタック、しかしこれは失敗。残り1kmを切ってカザルがゆっくりと前に出る。今度はアローヨが後ろからアタック、しかし、デッセル、カザルが後ろに着く。デッセルそのままアローヨを追い抜いて逃げる。アップダウン、そしてカーブの多いコースがデッセルに味方して誰も追いつけない。
そのままデッセル、先頭でゴール。見事ツール・ド・フランス初優勝。ゴールを通過して一瞬手を挙げようとするが、ゴールの先もカーブで手をあげられなかった。ステージ2位はカザル。3位はアローヨ。
シリル・デッセル公式ページ
そのころ総合争いはさらに白熱していた。
下りに入ってコール、そしてエヴァンス（サイレンス・ロット）らが先頭をひく。マイヨジョーヌのF.シュレック（CSCサクソバンク）、若干遅れ気味になるが、なんとかついて行っている。さらにサンチェス（エウスカルテル）が前に飛び出す。下りでのサンチェス、すばらしい下りだ。
しかし、何があったのか、今度は総合4位のメンショフ（ラボバンク）が集団から遅れてしまった。必死で追走するが、追いつくことが出来ない。
このままF.シュレックの集団、デッセルから1分28秒遅れでゴール。この中は総合リーダーのF.シュレックの他に総合2位のコール、総合3位のエヴァンスも同じ集団にいて同タイムのゴールとなったので、総合リーダーのシュレック、2位のコール、3位のエヴァンスは変わらず。しかし、ヴァンデヴェルデがボネット・レストフォン峠の登りで、メンショフが下りで遅れてしまったため、この2人が後退。総合4位にはサストレ（CSCサクソバンク）がジャンプアップしてきた。
総合上位6人のタイム差は以下のとおり。
- F.シュレック（CSCサクソバンク） 68h 30' 16"
- コール（ゲロルシュタイナー） + 00' 07"
- エヴァンス（サイレンス・ロット） + 00' 08"
- サストレ（CSCサクソバンク） + 00' 49"
- メンショフ（ラボバンク） +00' 38" → + 01' 13"
- ヴァンデヴェルデ（ガーミン・チポレ） + 00' 39" → + 03' 15"
ヴァンデヴェルデは表彰状争いからかなり後退してしまった。
総合山岳賞はコール、総合ポイント賞はフレイレ（ラボバンク）のままだが、総合新人賞は今日のステージでアシストとして活躍し、F.シュレックと同じ集団でゴールしたA.シュレック（CSCサクソバンク）が昨日までのニバリに変わってマイヨブランを着ることになった。
それにしても、激しいレースでした。特にシューマッハの走りが熱くて期待したのですが、さすがに超級２つは無理だったようで。
あと、激しい落車をしたオーガスチン、5分27秒遅れの35位でゴールしたようで、それなりに無事だったようで幸いです。勾配の少しきつい崖を落ちてたので、一つ間違ったら大けがになっているところでした。
総合争いの方は、ヴァンデヴェルデが脱落、メンショフも危機的状況というところでしょうか（表彰台だけならまだまだな位置ですが…）。そしてなんと言っても明日のステージ、ガリビエ、クロワ・ド・フェール、そしてラルプデュエズの山頂ゴールと超級三兄弟のむちゃくちゃに厳しいステージです。
特にタイムトライアルが苦手な選手にとっては、明日他の選手にアドバンテージを稼がないと総合優勝がなくなってしまいます。でも、その差は5位のメンショフでも1分13秒。
というか、2003年のツールのアームストロングからウルリッヒまで8秒、ヴィノクロフまで15秒、だったかな？あのときよりも僅差です。出てる選手は違うけど…
果たして明日決定的な差がつくのでしょうか。それともタイムトライアルまで持ち越されてしまう？楽しみです♪
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