Tour de France 2004/Prerace
優勝候補たちは？
なんと言っても昨年5連覇を達成したアームストロング（ＵＳポスタル）。今年は前人未踏の6連覇をかけて走る*1。ただし、昨年は暑さにも苦しめられて最後の山岳ステージの直前ではウルリッヒ（当時ビアンキ）、ヴィノクロフ（当時テレコム）らに僅差に詰め寄られていた。また今年のドーフィネ・リブレではマヨ（エウスカルテル）に敗れている。ひょっとしたら今年は彼にとって最高に厳しいツールになるかもしれない。
アームストロングのライバルの筆頭はウルリッヒ（T-モバイル）だろう。今回出場している選手の中で、というより現役選手の中でツールの総合優勝を果たしているのはアームストロング以外には彼だけなのだ。しかし1997年の総合優勝後、1998年にはパンターニに、2000年以降はアームストロングに敗れて2位がずっと続いている。昨年はビアンキに移籍して出場し、まだ過去の選手でないことを見せつけた。今年は古巣T-モバイルに戻ってどこまでアームストロングに迫れるか。
フォナックの2人も強烈だ。ハミルトンは昨年のツールの第1ステージで大落車に巻き込まれて鎖骨骨折。しかし最後まで走り続けて終盤のステージではステージ優勝。そして総合でも4位に入ってしまった。今年はCSCからフォナックに移籍して強力なアシストたちと総合優勝を狙うか？
もう一人のフォナックのエース、セビーリャも今年ケルメから移籍してきた。ツールでは以前新人賞も取っており、ハミルトンと2人で上位を目指すことも可能だ。
リバティセグロスからは去年までのアームストロングのチームメイト、エラスが出場する。やはり彼はアシストよりエースの方が力を発揮するだろう。去年ノザル（当時オンセ）を最後の山岳タイムトライアルで破った足で今年の山岳をかき回せば、アームストロングに取って危険な存在となるかもしれない。
そしてシモーニ（サエコ）。去年はジロで総合2勝目をあげてツールに出場するも、記録的な暑さに体調を崩してしまった。それでもステージ1勝をあげたのはさすが。今年はジロをクーネゴに譲ってツールでの勝利に挑む。
忘れてはいけないのがマヨ（エウスカルテル）だ。山岳での力は目をみはるものがある。そしてなんと言っても今年のドーフィネ・リブレで直接アームストロングを破っているのだ。総合でも山岳タイムトライアルでも。彼が力を発揮すれば、今年のツールは面白い事になるに違いない。
スプリントは誰が？
とりあえずスプリントならペタッキ（ファッサボルトロ）、と言いたいところだが、ジロと違ってファッサボルトロは今回はアイトール・ゴンザレスを中心とした総合を狙う布陣となっている。そんな中でジロほどの活躍は厳しいだろう。そうなってくるとオーストラリアの選手が中心となってくるのか？
クック（エフデジュ）、マキュワン（ロット・ドモ）らがスプリントを狙いにくるに違いない。去年シャンゼリゼでステージ優勝したナゾン（ＡＧ２Ｒ）やホンド（ゲロルシュタイナー）、キルシプー（ＡＧ２Ｒ）、そしてベテランのツァベル（T-モバイル）らヨーロッパの選手たちにもがんばってほしいものである。
そして、今年はなんと言ってもチポッリーニ（ドミナヴァカンツェ）が帰ってきた。ここ数年いろいろな諍いがあってなかなかツールで彼を見ることが出来なかっただけにうれしいニュース。ついでにステージ優勝してほしいなあ。
その他、がんばるかも、な選手たち！
今年クレディアグリコルに移籍したアルガン。去年も山岳ステージで飛び出しを見せて、優勝こそ出来なかったけど活躍してた。フランス人だけに彼の活躍は期待したいところ。
逃げる選手と言えばフォイクト（ＣＳＣ）もあげられるかな？平地での独創力は凄い。しかも今年彼はここまで快調だ。
マクギー（エフデジュ）も見逃せない。これまでタイムトライアルで活躍していたマクギーだが今年のジロでは山岳ステージもこなして総合上位に入った。名だたる山岳スペシャリストを押さえて2位に入ったステージもあった。この快調さがツールでも続けば、ひょっとして総合上位もあり得る？
山岳と言えばやはりヴィランク（クイックステップ）。今年は７度目の総合山岳賞を狙う。同じチームのベッティーニともども、途中のレースを面白くさせてくれるだろう。
後は去年第1ステージの大落車でリタイアしてしまったライプハイマー（ラボバンク）。総合力があるので期待したい。同じチームのラスムッセンも強力だ。
去年のプロローグで彗星のごとく現れたスベルディア（エウスカルテル）は結局総合5位で去年のツールを終えた。えうすかのエースはマヨなのだが、それをサポートするようにスベルディアがピレネーそしてアルプスでも活躍するかも。
がんばってほしい！な選手たち…
モロー（クレディアグリコル）はかつてシャンゼリゼで表彰台にも立ったことのある選手だが、ここ数年はなかなか上位にあがれない。力はあると思うのだが、山岳ステージでどうしても総合上位陣からずるずる後退してしまう姿を例年見てしまうのだ。ジュリック（ＣＳＣ）も同様。もっと活躍出来そうに思えるのでがんばって欲しい。
一昨年のヴエルタでチームメイトのセビーリャ（当時ケルメ）を倒して総合優勝を遂げたアイトール・ゴンザレス（ファッサボルトロ）。いろんな批判を浴びながらもエースとしてファッサボルトロに移籍したが、昨年は思ったほどの成績を上げられなかった。今年は活躍してほしいものだ。同じケルメから先にT-モバイルに移籍したボテロも同じ思いだろう。２人ともタイムトライアルが得意で山岳もこなせるので調子に乗ったら怖いのだが…
でも、なんと言ってもツール・ド・フランスを面白くするならフランス人の活躍が一番、でしょう。去年は最後のシャンゼリゼでナゾンが勝っただけ。今年はがんばって欲しいものです。
でれなかった選手たち…
去年のツールで悲惨な大落車を起こして去年1年を棒に振ったベロキ。今年はブリオーシュ・ラ・ブーランジェールから出場予定だったのだが、チームとのトラブルがあってチームを離脱。残念。
去年ツールというより年中活躍し、ツールでも総合3位でアジア人初の表彰台に上がったヴィノクロフ（T-モバイル）。ツール・ド・スイスでレース中に中央分離帯に激突してリタイア、ツール・ド・フランスも不出場となってしまった。
ミラー（コフィディス）とディルーカ（サエコ）は薬物疑惑で出場停止。またゴンザレス（エウスカルテル）が血液検査でヘマトクリット値が50を越えて出場できなくなったそうです。
