自転車な話/2008-07-23
＜ツール・ド・フランス＞第17ステージ、サストレに脱帽！ †
ツール・ド・フランス公式ページ
ツール・ド・フランス、アルプスの3日目第17ステージはアンブランからラルプ・デュエズまでの210km。
途中、3級のサント・マルグリット峠を通った後、ガリビエ峠、クロワ・ド・フェール峠、そして伝説のラルプデュエズへの山頂ゴール、と超級山岳が３つもある今年のツール最難関のステージだ。
そんなコースの厳しさとは裏腹に、回りに広がるアルプスの景色の雄大なこと。そそり立つ高峰に未だに万年雪をたたえる雪渓、美しい緑の草原があるかと思えば、生き物を拒絶するかのごとき岩肌や岸壁。そんな景色の中を走る道の両側にあふれかえるほどの応援の人々が並び、その中を選手たちが走っていく。すごい風景だ。
そして、今日のステージは総合争いでも最後の上級山岳と言うことで順位の変動は必至のコース。特にタイムトライアルで分が悪いCSCサクソバンクのシュレック兄弟やサストレはこのステージで大きなアドバンテージがほしいところだが…
レースの前半から中盤にかけて活躍したのは、ヴェリトス（ミルラム）。彼はレース序盤にペレス（エウスカルテル）、ディグレゴリオ（フランセーズデジュ）とともに逃げを決める。そしてその逃げに追いついてきたのは、なんと昨日も大逃げをして敢闘賞となったシューマッハ（ゲロルシュタイナー）。え〜、走れるの？というこちらの思いと裏腹に、この4人の逃げが決まる。
この先頭集団4人でサント・マルグリット峠を通過し、さらにガリビエ峠を先頭で通過。この時点でメイン集団とは5分ほどの差をつける。ガリビエの下りでディグレゴリオが遅れ、クロワ・ド・フェール峠ではペレスが脱落。さらにシューマッハが脱落した後も、ヴェリトス、逃げ続ける。その後、メイン集団からアタックしたピノ−（ブイグテレコム）と合流、残り13km、ラルプデュエズへの登りに入る。
メイン集団は今日もやはりマイヨジョーヌのF.シュレックがいるCSCサクソバンクが引き続ける。その引きでガリビエ、クロワ・ド・フェールと超級山頂を通過するたびに選手がどんどん減っていく。そして先頭の2人から1分を切った状態でこちらもラルプデュエズに突入。
そのラルプデュエズに登ってすぐの場面で先頭集団からいきなりアタックしたのはサストレ（CSCサクソバンク）だった。これにメンショフ（ラボバンク）が着こうとするが、追いつけない。逆にメンショフ、メイン集団からも脱落してしまう。
一方、サストレは快調。まるでこのステージのためにいままで力をためていたようだ。F.シュレック（CSCサクソバンク）、コール（ゲロルシュタイナー）、エヴァンス（サイレンス・ロット）らのいるメイン集団との差をどんどん広げていく。
メイン集団ではシュレック兄弟やバルベルデらが次々とアタックをかけるものの、決まらない。そのまま牽制状態になってしまい、スピードが上がらない。そのため一旦遅れていたヴァリャベッチ（AG2R）やエフィムキン（AG2R）、サンチェス（エウスカルテル）、そしてメンショフも再びメイン集団に追いついてきた。一方、サストレとの差は開いていくばかり。AG2Rのアシストであるグベールがメイン集団をひくが、サストレの方が早い。その差は2分を越えてしまった。総合のタイム差もすでに1分を越えている。
そしてついにエヴァンス、自ら集団をひき始める。もちろん他の選手が助けることはない。エヴァンス、苦しみながらメイン集団をひいていく。一旦2分20秒を越えた差が徐々に縮まってきた。
一方、先頭のサストレは最後までスピードが落ちなかった。そのまま、ラルプデュエズのゴールに入ってきた。
サストレ、ジャージにキスして、「俺が1番」と指を一本上げ、そのまま右手がガッツポーズ。そして両手で投げキッスをしてそのまま両手をあげてゴール。2003年のツール・ド・フランスの第13ステージ、こどものおしゃぶりを加えながらステージ優勝を決めた「おしゃぶりゴール」以来のステージ優勝を飾った。すごい、強い。もう脱帽です。
後ろの集団からはサンチェスがアタック。これをA.シュレックが追い上げる。最後は2人並ぶようにサストレから2分3秒遅れでゴール。サンチェスが2位、A.シュレックが3位となった。
カルロス・サストレ公式ページ
かの「おしゃぶりゴール」の写真もありますね〜（＾＾）
この後、総合に関わる選手たちの集団がゴール。ゴール前、バルベルデとF.シュレックがわずかに差をつけて2分13秒差でゴール。この後、エヴァンス、メンショフ、コールらのいる集団が2分15秒遅れでゴールした。
このため、総合成績は大きく変動した。昨日まで49秒差の4位だったサストレが総合リーダーとなり、自身初のマイヨジョーヌを獲得した。総合2位には1分24秒遅れのF.シュレック、総合3位は1分33秒遅れでコール。エヴァンスは1分34秒遅れの4位に後退した。
総合上位5人のタイム差は以下のとおり。
- サストレ（CSCサクソバンク） 74h 39' 03"
- F.シュレック（CSCサクソバンク） + 01' 24"
- コール（ゲロルシュタイナー） + 01' 33"
- エヴァンス（サイレンス・ロット） + 01' 34"
- メンショフ（ラボバンク） +00' 38" → + 02' 39"
総合山岳賞のコール、総合ポイント賞のフレイレ（ラボバンク）、総合新人賞のA.シュレックは変わらず。コールは今日のステージで超級山岳を上位で通過して山岳ポイントを稼いだため、パリでの総合山岳賞がほぼ決まった。
それにしても、激しいステージでした。今年のツール・ド・フランスはどのステージもおもしろいのだけど、今日はさらにすごいステージとなりました。
しかし、総合争いはさらに混迷が深まったのかも…。最終日前日にある53kmの個人タイムトライアルで総合成績がほぼ確定すると思われるのだけど、総合1位のサストレ、2位のF.シュレック、3位のコールがそれほどタイムトライアルが得意ではないのに対して、総合4位のエヴァンス、総合5位のメンショフがタイムトライアルが得意。ということはこの5人のタイム差がぐっと縮まるわけで、その縮まりようによって誰が総合優勝を果たすのかが変わってきそうな感じです。
そのためにもサストレやシュレックはエヴァンス、メンショフとのタイム差を広げたかったのだろうけど、実に微妙な差が残ってしまいました。
そして、明日の第18ステージも、今日のステージほどコースは厳しくないのだけど、終盤に2級と4級の山岳を越えてゴール。ということで、ひょっとしたら、また何かあるのかも。楽しみです♪
コメントはありません。 コメント/自転車な話/2008-07-23?
