自転車な話/2008-06-21
＜ツール・ド・スイス＞第8ステージ、クルイジガー、ステージ優勝、総合にも王手！ †
ツール・ド・スイス公式ページ
ツール・ド・スイス第8ステージは、アルトドルフからクラウセン峠への25kmの山岳個人タイムトライアル。約1500mもの標高差を超級のクラウセン・パスに向かって1時間以上登り続ける厳しいタイムトライアル。
レースの過酷さと対照的に景色がむっちゃ美しい。青い空にスイスアルプスの雪が積もる高峰、緑の高山植物、そしてそれをぬって走る道路。その道路を選手たちが走っていく。回りからは応援の声に混じってカウベルやアルペンホルンの音も…
レースは総合成績の低い順にスタート。ずっと1分間隔でスタートし、最後の20人は2分間隔のスタートだ。
途中、中盤にスタートしたルハノ（ケースデパーニュ）が1時間0分38秒の好タイムでゴールし暫定トップに入る。このタイムは相当いいタイムだったようで、この後もなかなかこのタイムを更新する選手がいない。わずかにクネゴ（ランプレ）がルハノから38秒遅れの1時間1分16秒でゴールしたのみ。このままレースは総合トップ10の争いに。
総合上位10人の中で調子の悪かったものは、奇しくも去年の総合2位で昨日まで総合リーダーのキルシェン（ハイロード）と去年の総合3位で今年は総合4位につけていたデヴォルデル（クイックステップ）。
デヴォルデルはエアロ形状のヘルメットをつけて気合い満々？と思われたのだが、第1計測ポイントで大きく遅れると、あとはずるずると後退。2分後に出発したアントン（エウスカルテル）、そして4分後に出発したクルイジガー（リクイガス）にまで追い抜かれて、最後は気力なくゴール。総合順位を大きく落としてしまった。
総合リーダーだったキルシェンも今日は全然だめ。さすがに後ろに誰もいないので追い抜かされる心配はないが、クルイジガーからは2分以上遅れて総合リーダーから転落。去年に引き続いて今年もタイムトライアルで優勝争いから消え去ってしまった。
逆に今日強かったのはクレーデン（アスタナ）。計測ポイントのトップタイムを次々更新して、ゴール手前では2分前にスタートのA.シュレック（CSC）を追い抜いてしまった。そのままゴールへ。最後ルハノのタイムを意識してがんばったが、わずか1秒及ばず、暫定2位。しかし、今日は強いクレーデンを存分に見てしまったような気がする。
しかし、もっと早い男がいた。昨日まで総合2位のクルイジガーだ。彼はクレーデンの更新したタイムをさらに次々と更新、4分前にスタートしたデヴォルデルを早々に追い抜き、2分前スタートのアントンに迫る。アントンも抜かされまい、とがんばる。それがクルイジガーにとっては格好の目標となったのも大きかった。
さすがにアントンに追いつくことはなかったが、ルハノの出した暫定トップタイムを16秒上回る1時間0分22秒でゴール。この後、デヴォルデルとキルシェンがゴールするが、すでにクルイジガーからは大きく遅れていた。
クルイジガー、そのままステージ優勝。ステージ2位は16秒差でルハノ、そして3位には17秒差でクレーデン。
リクイガス：ロマン・クルイジガー プロフィール
このタイムトライアルで総合順位も大きく変動した。昨日まで総合リーダーだったキルシェンは総合7位に脱落。そして替わって総合リーダーの座についたのはわずか22歳になったばかりのクルイジガー。総合2位には49秒遅れでクレーデン、そして総合3位は1分55秒差でアントン。最終ステージが平坦のステージなので、クルイジガー、今年のツール・ド・スイスの総合優勝に王手をかけたことになる。
総合ポイント賞のフレイレ（ラボバンク）と総合山岳賞のイグリンスキー（アスタナ）は変わらず。ただし、総合山岳賞はイグリンスキーと2位のロースリー（ランプレ）が同ポイントなので、明日残された2つの4級山岳で、最後の争いとなることは間違いない。
しかし、クルイジガー、まだ22歳になったばかり。
去年のパリ−ニースのプロローグでいきなりステージ2位という印象的な成績を残し、今年はツール・ド・ロマンディでクレーデンに次いで総合2位、そしてツール・ド・スイスではステージ優勝を果たし、総合優勝にあとわずか、です。最初にまさか彼がこんなに活躍すると思ってた人が何人いることか。
クレーデンが逆転にかける、という可能性はあまりないとは思います。終盤にある2つの4級山岳で山岳賞争いの裏でアタックする可能性はないことはないだろうけど、そこまではしないような気も。後はクルイジガーにトラブルがなければ、総合争いはこれできまり、かな？
そして明日はベルンにゴールする平坦ステージ。スプリンターの活躍が楽しみです♪
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