自転車な話/2008-07-24
＜ツール・ド・フランス＞第18ステージ、ブルグハート、ツール初勝利！ †
ツール・ド・フランス公式ページ
ツール・ド・フランス、第18ステージはブール・ドワザンからサンテティエンヌまでの197km。
途中、冬季オリンピックの舞台ともなったグルノーブルを越え、リヨンの遙か南を通って、サンテティエンヌにゴールするステージ、アルプスの厳しいステージを終えて、再びフランス南部の中央山塊を走るコースに戻ってきた。コースの終盤に今年のツール最後の2級山岳があり、逃げる選手にとってはかなり有利なコースでもある。
画面に映る景色も久々にフランス南部の美しい景色、緑の草原、赤い屋根の街、城、教会、TGV、そしてツール・ド・フランスといえばひまわり畑、である。レースも途中はまったりしていて、景色をしっかり堪能できた感じ♪
レースは前半の30kmにクネゴ（ランプレ）、ジルベール（フランセーズデジュ）らの落車で始まった。どうやら横のコンクリートの壁にもぶつかったのか、クネゴ、ジャージがぼろぼろになってあごを切ってしまったようだ。自転車も大破したらしい。
なんとかレースに復帰するものの、今日は集団の速度が速い。最初の1時間が時速55.7kmという早さ。このスピードにクネゴ、集団に追いつけず、どんどん離れていってしまう。
しかしクネゴ、あきらめない。ティラロンゴ、マルツァーノ、リーギ、モーリ、と言ったアシストに守られてひたすらゴールを目指す…
一方先頭では何人かの逃げが出るが、集団が追走するために決定的な逃げとならないまま、1時間が過ぎたようだ。その後、アタックを決めたバレード（クイックステップ）とブルグハート（コロンビア）が先頭集団となり、その集団から脱落したフェイーリュ（アグリチュベル）、ルメベル（クレディアグリコル）、アスタルロサ（エウスカルテル）の3人が追走集団を形成。この２つの集団とマイヨジョーヌのサストレ（CSCサクソバンク）を含むメイン集団、それを追走するクネゴたち、という形でレースは進んでいく。
先頭の逃げはうまく決まり、後続の追走集団に約4分、メイン集団には約10分の差をつけたまま、終盤の2級山岳クロワ・ド・モンヴュー峠に到達する。メイン集団も途中で何度か追う姿勢を見せたものの、結局追走をあきらめてしまった。追走集団の3人も先頭集団に追いつく事が出来ず、レースは先頭の2人の争いとなっていく。
クロワ・ド・モンヴュー峠を先頭で通過した2人、最後の4級山岳コート・ド・ソルビエにさしかかる。残り10kmを切ったところでバレードが2度アタック。しかしブルグハート、逃がさない。コート・ド・ソルビエの山頂を越えてブルグハートがジャージのファスナーを閉めようとしたら、またまたバレードアタック。ブルグハート、すぐ追いついて、すぐ横にあがって無事ファスナーを閉める。
この後、お互いに牽制、そしてアタックを仕掛けるが、いずれも決定的なものにならないまま、ゴール前に入っていく。このままだとスプリントがあるブルグハートの方が有利か。
残り1kmの手前でバレード、ブルグハートを前に出す。ブルグハート、後ろのバレードを振り返りつつゆっくり進んでいく。バレードもゆっくりと後ろに着く。まるでピストのスプリントのよう。そのまま徐々に距離が少なくなっていく。500m、400m、300m、そして200mを切っても2人はブルグハートを先頭にゆっくりと進んで行く。
残り150m、ついにブルグハートが加速、バレード後ろに着くが、前に出ることが出来ない。そのままブルグハートが先頭でゴールラインに。両手を挙げて喜びの表情でゴール。ブルグハート、去年のツールでは犬に転倒されられたりもしたのだが、今年はついにツールでの初勝利だ。
その後ろからめちゃくちゃな勢いでなんとかブルグハートを差そうと突っ込んできたバレードだったが、追い抜くことが出来ず。ハンドルを2度も叩いて悔しがる。無念のステージ2位。
追走集団からは残り300mでルメベルがアタック、後ろからフェイーリュ、アスタルロサが追う。
しかし、スプリントではフェイーリュの方が分があった。残りわずかで右に出て加速。ルメベル、後ろに着くが、追い上げることが出来ず。結局ブルグハートから3分33秒遅れて、フェイーリュが3位、ルメベル4位、そしてアスタルロサ5位でゴールした。
マーカス・ブルグハート公式ページ
レース中のブルグハートの居場所や心拍数とか出力、ケイデンス、スピードなどがリアルに表示されてるらしい。彼の自転車に着いていた黒いボックスはこのデータの発信器だったのね。
後続の集団からは最後の4級で新人賞争い2位のクルイジガー（リクイガス）がアタックをかけるが新人賞1位のA.シュレック逃がさず、彼らについて行った地元のデッセル（アグリチュベル）らとあわせて5人が先にゴールしたが、メイン集団は彼らから11秒遅れでほとんど差もなくゴール、総合トップ10の成績に大きな変動はなかった。総合リーダーはサストレ（CSCサクソバンク）、2位に1分24秒差でF.シュレック、3位に1分33秒差でコール。
総合山岳賞のコール、総合ポイント賞のフレイレ（ラボバンク）、総合新人賞のA.シュレックは変わりなし。
表彰式が行われているころ、クネゴがようやくゴールに戻ってきた。メイン集団の先頭から13分22秒遅れて4人のアシストに守られながらゴール。大きく遅れてしまったが、クネゴはまだパリを目指している。
しかし、アルプス3ステージと個人タイムトライアルの合間とは思えないほどおもしろいレースでした。ブルグハートとバレード、2人の間の駆け引き、そしてゴールでの対照的な表情が印象的でもありました。さすがに総合争いの選手たちは動かなかったですね。
そして、ひどい落車をしたクネゴ。果たして明日からも無事に走れるのでしょうか。ちょっと心配です。でも、あれだけの事があってもあきらめずゴールした彼のガッツは感動的でした。なんとかパリのゴールまで行ってほしいものです。
明日のステージもアップダウンがあるステージ。果たして今日みたいな逃げがまた決まるのか、それとも久しぶりにスプリンターたちの競演を見ることが出来るのか。楽しみです♪
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